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98年1月11日に行われた、「造山古墳群現地説明会」の模様をお伝えします。
これは吉備の中心地の造山古墳群をめぐる遊歩道建設に際し、35m程度にわたって、約100本ほどの円筒埴輪と盾型埴輪の列が直線的に並んでいるのが発見されたものです。
よく「古墳の周りに埴輪をたて並べてあった」という表現は聞きますが、実際に埴輪がこれほどの数、列をなして発見されたのは珍しく、岡山市の教育委員会では、最低限の記録をしたうえで遊歩道の設計を若干変更して現状で保存することになったそうです。
将来の調査などに備えて、このたびは地中に戻してしまうため、できるだけ多くの人にみてもらいたいと、この現地説明会となったようです。
- 造山古墳
造山古墳は全長約350m、全国第4位の大きさを誇る巨大古墳です。1~3位までは天皇陵といわれているため、実際に庶民が立ち入りできる古墳としては、全国最大です。周りには全国9位の作山古墳をはじめ、数多くの古墳や、備中国分寺など古代遺跡の集中した、吉備の中心地にあります。
造山古墳は5世紀前半の吉備の王の墓といわれ、周辺には陪塚ともいえる小規模の古墳が6基あります
- 造山第2号古墳と埴輪列
今回埴輪列が発見された近くにある、第2号古墳は、1辺約20メートルの方墳です。造山古墳の堀(推定)のすぐ外側にあり、造山古墳の前方部と平行になっています。今回の埴輪列は、この2号古墳や造山古墳、その西側の(自然の)山の加工跡とも平行になっていて、説明員のかたも「何らかの関連が予想されます」といっておられました。
おりからの小雨のなか、午前10時の開始時には、ずらっと長い人の列ができました。ちょっとずつすすむ人のあとから進むと、ありましたありました。すぐ足元におよそ30センチくらいの丸い輪が、ずっとむこうへ続いています。標識をみますと、「105」となっていて、掘り出された部分の最後が105番目の埴輪のようです。
「これは、まだ下があるのですか」
「ええ、まだ30から40センチは埋っていると予想できます。」
「掘って見てはないのですか」
「今回は掘り下げていません。」(残念)
「これは埴輪の一番上ですか。それとも上の部分がまだあったのですか。」
「まだ上の部分があったようです。以前の地下げ工事の時、埴輪が出たという話が伝わっていますし、そのときこの上の部分はこわされたようです。」
「この盾型埴輪というのは?」
「円筒の外に盾のような板がくっついているもので、ところどころにあります。」
なるほど、ところどころに「盾型埴輪」と書いた表示板が置いてあります。
「これは、後ろの2号古墳の辺とも平行ですし、この前の山を削ったあととも平行になっています。造山古墳より少し新しいようですが、何らかの関連はあるようです。」
興味はつきない説明会でしたが、早く再調査をしてほしいものです。