平家蟹さんの古墳見て歩記(岡山編5)

 これは、
考古学界の山頭火こと平家蟹さんが、1998年の夏から秋にかけて、パソコン通信NIFTYの会議室にアップされたもののうち岡山の部分を、ご本人の承諾を得て転載させていただいたものです。尚、見出しや構成、顔グラフなど1部変更させていただいた部分もあります。

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津山周辺の美作町勝央町、鏡野町,久米町落合町の古墳の紹介です。

 岡山県内陸部、津山周辺の古墳の紹介です。まずは東側美作町から。
なお行ったのが89,95年と古く、現状と違っていたら御勘弁をm(__)m。
実際この2回の間でも大きく違っている場所もあります。


美作町

緑青塚古墳(35°00′34″N 134°12′05″E)

 作東町との境界近く、R179北側の尾根を利用して作られた全長36m の前方後円墳です。墳丘は藪の中だがくびれ部辺りだけがバリカンで刈られたようになっていて墳丘は良好のようだ。後円部頂に石の祠が幾つかあり。
 竪穴式石槨があるそうだが全くわからず。町史跡。

平福陶棺出土地

 緑青塚から国道を約1km 程西に行った辺りの丘陵南側斜面から陶棺が出土、装飾のある切妻家形の棺だが今は現地に説明板があるだけ。現物は東京国立博物館にあり。

金焼山古墳(35°01′45″N 134°10′47″E)

 中国自動車道美作IC東約1.5km 丘陵頂にある全長36m の前方後円墳です。
 墳丘は良好、山頂を平らにして墳丘を形作っているようだ。墳頂に四角く細長い石が露出、竪穴石室の石材か。登る道がなく無理やり登っていった。  登りは一点を目指して登るからいいが下りは目標がなく迷ってしまった。兎を追う猟師山を見づの心境(^^;)。しかしこんな場所でもゴミが落ちている(捨てるなよ)、誰か登ってくるんですね(自分のことは棚に上げて(^^;)

上経塚古墳(35°01′32″N 134°11′09″E)

 金焼山南東約1km の尾根上にある全長36m の前方後円墳で墳丘良好。これは2号墳で南側に円墳の1号墳あり。1回目に行ったときは尾根上の疎林の中で形のいい墳丘がよく見えていたが2回目に行ったときは探せども探せども全くわからず、疲れて一休みしたらなんとその背後の藪の中に古墳があった。墳丘など全く見えずこれではわからないはずだ。あまりの違いにただ々呆然。

楢原寺山古墳(35°00′50″N 134°10′20″E)

 美作IC南東約1.5km 丘陵中腹にある全長54m の前方後方墳です。側に説明板が立っているが墳丘は藪の中。盗掘坑に竪穴石室天井石らしき物が見えている。町史跡。

上相古墳群(35°02′00″N 134°09′18″E)

 美作IC北西約1.5km 低い丘陵上にある帆立貝式の上相東塚、上相中塚を含む古墳群です。5~6基の小古墳と中塚を確認したのみ。殆どが藪の中です。中塚で小型の石室らしき物露出。

勝央町

 勝央町の古墳の紹介です。
中塚、西宮、高塚、観音寺の各古墳は植月地区の小盆地周辺の丘陵上に位置しています。なお現地での標柱の古墳名と保育社「日本の古代遺跡(岡山)」とでは名前が異なっているので一応本のを採用しています。同じような名前なのでちょっと混乱しそう。

美野中塚古墳(35°03′56″N 134°08′45″E)

 盆地南側、半独立丘陵の西端に位置する全長52m の前方後方墳です。墳丘良好、雑木林に覆われていますが前方部の低い墳形が割とよく観察できます。西側神社の側に小円墳あり。町史跡。

美野高塚古墳(35°03′59″N 134°08′48″E)

 中塚から東に行くと林の中にある全長58m の前方後方墳です。前方部の細長い墳形で割と良好、ただ狸の巣穴が幾つも開いている。「前方後円墳集成」では後方部流失と書いているがあまりそんな感じはしませんね。前方後円墳の可能性もあるそうな。標柱では西宮古墳。

田井高塚古墳(35°03′36″N 134°08′43″E)

 中塚の南側、田井の集落から山道を登って行くと丘陵中腹にある全長42m の前方後方墳です。山道から少し離れているので注意が必要、私の場合白い柱が見えたのでてっきり標柱があったと思って行ったらただの枯れ木だったけどそこに古墳があったという運の良さ。それでなければ山頂まで登ったかも(^^;)。 古墳は地形の高まりを利用して構築されていて墳形もあまりはっきりせず低平(一応高4.5m)な感じのする墳丘です。道を聞いた地元の方の話では未盗掘だそうな。標柱では美野高塚古墳。町史跡。

植月寺山古墳(35°04′23″N 134°08′12″E)

 盆地北西丘陵上、観音寺本堂北側の杉林の中に堂々とした墳丘を横たえています。全長92m、高8.5mと大きな墳丘で前方部南側が少し削られている他は良好、前後の方形も大変よくわかり、北側から林越しに見ると美しいシルエットを見せています。標柱では観音寺古墳。周辺にも幾つか古墳があって古墳群を形成しています。県史跡。

愛宕山古墳(35°02′56″N 134°06′57″E)

 役場北方の工業団地内、北側の削り残された丘の上にある全長28m の前方後円墳です。背の低い墳丘で何とか前方後円墳とわかる程度。ここも狸の巣穴だらけ。

琴平山古墳(35°02′40″N 134°07′35″E)

 役場北東約1km、丘の頂にある全長48m の前方後円墳です。神社脇にそれらしき墳丘があったがはっきりわからず。下の国道から神社が見えているので楽勝と思って登っていったがくたびれもうけといった感じ。

岡高塚古墳

 琴平山北東約1km の山頂にある全長51m の前方後円墳です。ただし琴平山からは直接行けず一旦高速道辺りまで降りて岡の集落から登っていきます。
 標高差160mをものともせずえっちらおっちら登っていきましたが途中にある前方後方墳の殿塚古墳は分からず通過、やっとついた山頂は平坦でやや広い上に灌木が生えていて見通しが利かず、探し回ったがさっぱり見つからず。
 山頂にあるのだし、墳丘もそんなに小さくないのだからすぐ分かると思ったんだけどなー。まさか気づかずに墳丘の上を通過したのではないだろうな(過去何度か経験あり(^^;)。

岡古墳群(35°02′40″N 134°08′20″E)

 勝手命名。地図を見ると高塚から南に下る山道があってそのままよつみだわ古墳群に行けるようなので、下っていくと途中で思いがけず小古墳が4基あった。そのうち2基で石室が開口、ラッキー。共に奥壁に1枚岩を使っている他は小型の割石を使った無袖式。残り具合も良好で小型の割に立派な石室です。場所は隣の美作町との境界辺りか。

よつみだわ古墳群(134°08′15″N 35°02′08″E)

 さらに下って行くとよつみだわ古墳群に至るはずだが途中で道が消えている(+。+)ガーン 。強行突破しようかと思ったが後どの位あるかも分からず、泣く泣くもと来た道を引き返す。まさしく禍福はあざなえる縄の如しだ(以前にも使ったことがあるなー(^^;)。
こういうのは肉体的にも精神的にも疲れます。さて岡の集落に降りて東側の高速道に架かる陸橋を渡ると300m程登った丘の中腹に古墳群があります。前方後円墳1(全長23m )、円墳3からなる古墳群です。最初に行った時は周りに何もなく古墳は疎林や藪の中でかわいらしい姿を見せていましたが2回目に行った時はすぐ近くで大規模な工事中でした。幸い古墳群はぎりぎりの処で破壊を免れていましたが現在はどうなっているでしょうか。

鏡野町

 鏡野町の古墳の紹介です。

赤峪古墳(35°06′15″N 133°56′38″E)

 R179と香々美川が交わる辺りから県道392号を川沿いに約2km北上  して左折、川を渡って暫く行くと丘の麓に標柱があってそこから山道を  登って行きます。全長45m 高4.5mの前方後円墳ですが丘陵頂を利用して  いるせいかかなり大きく感じられます。ここも1回目は藪の中でしたが  2回目は藪がすっかり刈られて杉林の中にどっしりとした墳形をよく観  察できました。主軸線上に溝が走っているのはトレンチの跡なのかな。  町史跡。

土居天王山古墳(35°06′03″N 133°56′10″E)

 赤峪古墳から男山を挟んだ反対側、丘陵麓近くの尾根先端にある全長27m  の前方後円墳です。現在は尾根がR179バイパスによって切断され西側に  残された小丘にちょこんとのっかっていてその分行きやすい。墳丘は比  較的良好に残っていて後円部に石室が開口、羨道は半ば埋まっています  が玄室長5mの右片袖式、壁、奥壁とも中型の割石が使われていて持ち送  りのある石室です。町史跡。

土居妙見山古墳(35°06′04″N 133°55′56″E)

 天王山古墳の小川を挟んだ西側の丘の上にある全長25m の前方後円墳です。  保存状況はよいようですが藪の中で前方後円墳と分かる程度。

竹田妙見山古墳(35°05′16″N 133°56′02″E)

 町役場すぐ西側の丘陵上にある全長36m の前方後円墳です。ここも藪の  中で確認しづらい。東側にも同規模の円墳あり。

郷観音山古墳(35°03′48″N 133°55′15″E)

 町役場南西約2km、久米町との境近く吉井川と香々美川の合流地点近  くの丘陵斜面上に位置する全長43m の前方後円墳です。後円部脇に神社  があって麓から参道を上ってたどり着くことができます。神社背後の後  円部がざっくり盗掘を受けていますが他は割と良好、杉林の中に優美な  姿を見せています。町史跡。

久米町

 久米町の古墳の紹介です。

久米三成古墳(35°03′50″N 133°54′01″E)

 町役場北方約1km、R181から県道340号、さらに県道339号に入  って行くと北側のお寺(名前は忘れた(^^;)の東側丘の上にある全長35m  の前方後方墳です(2基の方墳という説もある)。墳丘や箱式石棺(後  方部1,前方部1,後方裾に2基)が復元され見学に供されています。  古墳群の4号墳ですが周辺では1基見つけただけ。国史跡。

岡大塚古墳(35°03′44″N 133°53′29″E)

 県道339号をさらに800m程西に行った南側の丘陵上にある全長54m の  前方後円墳です。後円部に盗掘坑があるが全体に良好、割と大きな感じ  のする墳丘です。墳丘上に標柱があるが林の中にあって見つけにくい、  この他に紹介する町の史跡となっている前方後円墳も同様ですが藪の中  の墳丘上に立てるより目印になるような位置に立ててほしいですね。5  号墳なので他にもあるはずだが全く分からず。町史跡。

狐塚古墳(35°03′53″N 133°54′12″E)

 県道340号に戻って500mほど北上すると右側にため池が見えます。こ  の西側低く突き出た尾根の先端にある全長35m の前方後円墳です。杉林  の中で全体が笹に覆われていますが保存状況は良好、かわいい姿を見せ  ています。後円部頂に大きな石が露出していますが石室の石かな。  ここから谷を挟んだ南側の低い尾根上にも何となく古墳がある雰囲気  (最近は結構鼻が利くんです(^^)、はずれることも多いけれど(^^;)。  登るのも容易だったので行ってみたら案の定3基の円墳があった。  ヤッタネ(^^)v。

観音免古墳(35°02′07″N 133°55′07″E)

 町役場から県道159号を約3km南下すると東側丘陵にゴルフ場があ  ります。このゴルフ場に行く道の途中(私の場合、地図が古くて少し手  前の神社に至る道をてくてく登っていった(^^;)にある全長40m の前方  後円墳です。ここも墳丘上に標柱があるが道路からは見えず古墳がある  のが分かっていても探しづらい。墳形もいまいちはっきりしません。  町史跡。

瓢箪山古墳(35°01′33″N 133°55′26″E)

 県道を更に南下、R429との交差点北東の丘陵上にある全長35m の前方後  円墳です。前方部に小さな神社があるが墳丘はよく残っているようだ。  町史跡。

油木北奥の前古墳(35°00′55″N 133°54′11″E)

 元の交差点から西に約2.3km行き川を越えた北側の丘陵上(溜め池  が目印)にある全長35m の前方後円墳です。墳丘は良好だが林の中で分  かりにくい、墳丘上に標柱あり。別名油木高塚古墳。町史跡。

落合町

 落合町の古墳の紹介です。

川東車塚古墳(35°01′19″N 133°45′26″E)

 津山からかなり離れていますが町役場北方約500m、中国自動車道と旭川  が交差する辺りの丘陵上川を見下ろす位置に立地する全長61m の前後で  す。墳丘は良好で96年に小規模な発掘が行われ全体が裸の状態、場所  的にも見学しやすい古墳です(側の配水塔が目印)。 このページの先頭へ
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