謎の「ベトコンラーメン」、その真相??に迫る

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「ベトコン」とは。

 わが家の近くに「ベトコンラーメン」という店が開店したのはいつの頃でしたか。たしか子供達がまだ小さかったように思います。
 『ベトコン』というのは、私達の年代にとっては、なんとも懐かしい単語です。私の青春時代、アメリカがベトナムに50万人もの軍隊を送り込んで、なんとか言うことをきかそうとやっきになった時期がありました。ベトナムの人々はそれに抵抗して闘い、「核」以外は何でも使ったというアメリカ軍を負かしたのです。いや、米軍には実際に核使用計画もあったと言われていますが、世界の世論のまえに、使うこと無く撤退を余儀なくされていきました。

 そのときアメリカがベトナムの人々に対して、蔑称として使った呼び名が『ベトコン』なんです。ベトナム民衆の闘いの中心となっていたベトナム共産党を略して、「ベトナムのコミュニスト」すなわち「ベトコン」と呼んだのです。しかし、蔑称はそのうち言い出しっぺの意図を離れて共通語となり、『ベトコン』は当時の民族独立運動の世界的象徴、また世界の民主主義の象徴ともなっていったのでした。
 でも、最近の若い人のなかには、「ベトナム コンバット」の略だと思っておられる人もいるようです。うーん。こっちのほうが、かっこいいかもしれませんが??。

「大論争」。そしてテレビ、ラジオで。

 その懐かしい『ベトコン』を冠したラーメン屋さんが、近くに登場したのです。1度は食べてみないわけにはいきません。で、
 「美味しい。」
 「辛い。私たちにはとてもだめ。」
 「あの辛さがいいんだよ。」
 「ベトナムと何か関係があるのかしら。」
 「それに何か宗教色があったりして。嫌い。」
 「味と宗教は関係ないと思うけど?・・・。」
 そのうち子供達もあの辛さに慣れ、ちょくちょく家族で通うラーメン屋さんになっていったのでした。

 いつのまにか日本も「グルメブーム」といわれる飽食の時代を迎え、テレビやラジオで盛んに食べ物の話題が取り上げられるようになりました。で、この「ベトコンラーメン」も地元のテレビ局に取り上げられたのです。それからあとは、このホームページの冒頭に書いたとおりです。でもさすがはテレビ局です。「ベトコン」の語源についてもしっかり取材されておりました。なんと「ベストコンデションラーメン」の略だというのです。食べるとコンデションが良くなるんだそうです。
 えっ!!!???。たしかに体調は良くなるようにも思いますが、でも「ベトコン」は?。私たちにはやっぱり、あの「ベトコン」ファンが開発して名付けたのではないかという疑いが、何パーセントか残ったのではありました。

え、名古屋にも「ベトコンラーメン」が?

 全国でラーメンホームページを開くお仲間の「あいがも」さんからメールが入りました。
 えっ。名古屋や岐阜にも「ベトコンラーメン」があるんですか?。我がホームページは更新の度に「見てください」というメールを送り続けていますが、相手のホームページは見る頻度が落ちていて気がつきませんでした。そんなとがめが出てしまったようです。ごめんなさい。あいがもさんの「東海ラーメン紀行」、いつのまにかすごい充実しているではありませんか。まさに東海地区最強のラーメン案内書です。
 で、「ベトコンラーメン新京本店」「ベトコン香楽」などという名も並んでいるのです。読んでみると何と、本当によく似ているようです。
 昔、パソコン通信で、「名古屋にもベトコンラーメン」があるということを聞いたことがありましたが、そのときは問い合わせにも回答がなく、あきらめていたところでした。
 謎!、謎!、謎!。
 名前の由来といい、謎の多かった「ベトコンラーメン」にこんどは最大の謎が出てきたのです。どうしよう。これはもう、突撃取材以外に方法がない。

若だんさんと、ホームページ

 なんと、インターネットに「ベトコンラーメンのページ」というホームページがあるではありませんか。それもわが倉敷の「ベトコンラーメン」です。
 開店時間から、メニュー、ラーメンの写真まであります。
 そこで写真入りでニコニコ笑っているの、はおやじさんではなく息子さんでした。ちょっとふっくらとして『若主人』いや『若だんさん』といった雰囲気をただよわせています。
 メールアドレスがありましたので、メールを出してみました。初のメールにもかかわらず、ごていねいなお返事をいただきました。


 で、この若だんさんに会いに行ってしまいました。なんのことはない。ベトコンラーメンを食べに行っただけなんですけどね。で。
 「こんにちは。最近はどうですか。」(なぜか、どうでもいい挨拶になってしまうのは、私の悪いところです)
 若だんさんは、HPの写真のとおりの人なつっこい笑顔をみせて、  『ええ、ひところに比べますと、お客も少し減りました。バブルのころはすごかったですからね。』
 「名古屋のほうにも、ベトコンってあるそうですが」
 『ええ、親父があちら修行してきましたので、もとはあちらです。』
 『でも、ベトコンラーメンといっても、みんな独自の工夫を加えていますので、それぞれ味は細かくちがうようです。』  『いぜん大阪で食べたことがあるというお客さんがいました。味を見比べ競るのもおもしろいかもしれませんね。もとをただせば出所は一つです』
 『ただ某所にあるラーメン店とかみたいに「ベトコンラーメン」とメニューにだしてるところが けっこうあるそうですが・・・。これなど、話を聞いて作ったというようなものもあるようです。』

 謎はあっというまに解決してしまったというわけです。そういえば、ベトコンの親父さんは名古屋出身だという話をどこかで聞いたことがあるようにも思います。1度東海地区のベトコンラーメンを食べにいってみたいですね。

PS:ところでこの『若だんさん』、私の息子と中学が同級生だったのです。また私の「ベトコンファン」度が増したのはもちろんです。


尚、これに関して、東海地区の「新京本店」のホームページがあって、次のような「ベトコンラーメン誕生秘話」がのせられています。以下要旨を紹介します。
 ベトコンラーメンと『新京』の名の由来
 本店の稲垣さんが1932年に満州国の新京市で生まれました。(現在の吉林省の長春市)
 これが新京の由来になってます。
 昭和10年頃(稲垣さんの)父のもとでボーイとして働いていたチヤンさんが色々中国料理を作ってくれ、そのなかに今ベトコンラーメンといわれる原型のそばを食べました。
 昭和44年新京を開店しました。開店当初その疲れと湿気のため食欲不振になり当時調理を受け持った安井氏が、ニンニクと唐辛子の入ったラーメンを食べさせてくれました。それは満州時代を思い出させる懐かしい味でした
 そしてこのラーメンを皆様に食べてもらいたいと思いました。そしてベストコンディション ラーメンと言う名前が浮かびました、しかしお客さんは「おい、ベトコンくれ」言います。ベストコンディションよりベトコンのほうが言いやすいのです。私はその名をいただきベトコンラーメンとなっ たのです
 これが新京とベトコンの由来です

新京の14軒の仲間たち

1  一宮新京   愛知県一宮市       10 小牧新京  愛知県小牧市
2  丸八新京   愛知県名古屋市      11 師勝新京  愛知県西春日井
3  岩倉新京   愛知県岩倉市       12 各務原新京 岐阜県各務原市
4  春日井新京  愛知県春日井市      13 守山新京  愛知県名古屋市
5  平田新京   愛知県名古屋市      14 龍宝     三重県桑名市
6  中村新京   愛知県名古屋市
7  高槻新京   大阪府高槻市
8  倉敷新京   岡山県倉敷市
9  岐阜新京   岐阜県羽島郡
それぞれ営業時間、休日、値段、もちがいます。


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