あるミュジシャンの岡山ラーメン談義


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 味覚と聴覚は関係が深いのではないでしょうか?。え、ラーメンのHPでなぜいきなりそんな話をするかって。それが最近つらつら考えてしまったのです。私の尊敬する『グルメ』の先輩達はみんな楽器ができたり、最初のメロディーで多くのクラシックの曲名がでてきたりするんですもの。 つまりみんな音楽に造詣が深いんです。
 「それはただ単に、おまえが音痴&味音痴ということで、音楽と味覚とを結び付けたんだろう!」
 うーん。それもごもっともではありますが。やっぱり『ハーモニー』とか『アンサンブル』とかの音楽用語は料理でも共通するようにおもうんです。
 ね、みなさん。いかがでしょう。

   というように下手な考えを巡らせていたおり、ちょうど掲示板に「ひろ」さんという人から書き込みがありました。私のラーメンページを読んでの感想を入れてくださったのです。
 みれば、「楽器の演奏を職業にしている」「ラーメンを1日3〜4杯は食べる」「東京、浜松から、今は岡山にいる」とあります。おっ、素晴らしい。プロの音楽家のラーメン批評をぜひ聞いてみたい。しかも「ちょっと食べて、あっ失敗とわかるとすぐ出てしまう。」というくらい味にもシビアな人のようで、全国のラーメンのなかでの岡山のラーメンの位置づけもわかるにちがいない・・・・。
 さっそく出演しているといわれるライブハウスへ行ってみました。歳のせいもあって?私にはほとんどなじみのないところです。片隅に席を占めて待っていると始まりました。なんと、私にもちょっと懐かしい、聞き覚えのある曲が続きます。それよりもあの舞台と客席の混全一体となった盛り上がりはどうでしょう。寄せては返す海の波のように、ミュジシャン達と客席とのかけあいが続きます。うっとりとながめるうちに、あっというまに演奏の35分間は過ぎて行きました。

 翌日ひろさんに時間をとっていただいて、インタビューにおよびました。
 「こんな仕事をやっていますと、朝までのんでいて、目がさめると汁もんが欲しくなって、よくラーメンを食べるようになったんです。何か食べに行こう。じゃ、ラーメン。お前もラーメン好きか。というぐあいで、ラーメン好きが集まって仲間がふえていったんです。」
 「20代前半は地方まわりが多かったもんですから、ほとんど全国のラーメンを食べてまわりました。」
 少し丸顔で、端正な目鼻だち。女性にもてるだろうなっといったふうな『ひろ』さんは、片耳にピアスを光らせながらなめらかに語ってくれました。

 「ラーメンの看板が見えるとぱっとはいっちゃうんです。あっしまったと思ってもいちおう注文しないといけませんし。東京が長かったので、家系とかラーメンショップ系とか、醤油トンコツ系で、けっこうコッテリ系がすきですね。ホープ軒もほとんど行きましたが、還七沿いの元祖ホープ軒というのがいちばん美味しかったですね。」
 「九州のとき、久留米ラーメンにはまったことがありまして、3号線沿いに丸星ラーメンてあるんです。お待ちどうさまって出てくると、うすーく膜が張っていて、ゼラチンがげんこつブツブツで。そんなんありますよね。」

 小学校のころ周りに年上の人が多く、そのなかで楽器をいじりはじめたというひろさんは、中学に入ると親に内緒でベースギターを注文したりするようになります。大学のおり、よく行っていたスタジオにツアーにさそわれ、ちゃんとしたミュジシャンばかりに混じって鍛えられたとか。米軍キャンプめぐりあたりから本格的な音楽活動になって、そのころオールデェイズがブームになっていて・・・。
 「えっ。オールディズって?」ああ、なんと知識のないのは悲しいことです。
 「ええ、私達の間では、50年代から60年代のアメリカンポップスをさしているんです。今そこに特徴のある店としてやっています。」

 話はいよいよ岡山のラーメンにさしかかってきました。
 「岡山で感動したのは、やまとですね。永福町(杉並区)の大勝軒の味にけっこう似ていたんで、嬉しくなってそれからよく行くんです。大勝軒って、銀のおぼんに乗ってうやうやしく出てくるところなんですよ。」
 「天神はけっこう好きなんですが、ちょっと味が薄いのと、親父さんがちょっといいかげんなところがあることかな。一元、ちょっと甘目の醤油味で、ごはんをそそる感じ、ラーメンライスにしたいですね。浅月は、ちょっとくさいでしょう。僕はそのくさい味のラーメンってけっこう好きなんですね。」
 続々とラーメン屋さんの名が登場します。
 「岡山は麺が全体に柔らか目じゃあないかと思いますね。麺がもう1つですね。それと、僕はいろんなタイプのラーメンを食べるんですが、岡山は味噌ラーメンというか、札幌ラーメン系がちょっと弱いんじゃあないですかね。」
 「岡ビルの近くにまるだいってあるでしょう。科学調味料もしっかりなんですが、でも、あっまた喰っちゃった、という感じなんですよ(笑い)。近いし。近くではあの◯◯、あれはどこが美味しいんでしょうね。並んでいますけどね。麺××ってあるでしょう。味がきれいすぎて、どれも良くも悪くもない味っていうのかな。昨日も△△△で食べたんですが、昼間はちょっとつらいもんがありますね。ベトコンは、仲間に好きでいつも行く人がいますよ。」
 「タン麺て食べられます?。中華料理屋のもの。中華料理屋の味がいいか悪いかの基準によくチャーハンがいわれますが、私はタン麺を基準にしているんですよ。一番シンプルな塩味で、東京にはタン麺の美味しい店がありましたね。」
 「タンタン麺ですが、タンタン亭てありますし、餐休なんかもここぞとばかりゴマペーストをいれてあるでしょう。もうちょっと工夫して欲しいです。」

 批評がいちいち核心をついています。さすがは『音楽家』というべきでしょうか。冒頭の私の考察をも見事に証明していただいたようです。
 「岡山へ来て一年ちょっとですが、けっこう食べられますよ。でもまだ探している途中なんですけれどね。」ありがとうございます。全岡山のラーメンファンになりかわりまして(???)、御礼申し上げます。
 「これからも、けっこうラーメンを極めたいとは思っているんですがね。それでかたっぱしから食べているんですよ。」
こうしてラーメンのことなら、何時間でもしゃべり続けられるといったひろさんでした。
 パソコンをはじめて、まだ2週間というひろさん。そのうち素晴らしい「ラーメン&オールディズ」のホームページでも立ち上がると嬉しいですね。(98、3)

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