「杉原姓目次」のページへ戻る
坊ちゃんの街の和楽器店

   四国は愛媛県松山市。夏目漱石の小説「坊ちゃん」で有名なところです。市の東南にある道後温泉は四国最大の温泉地で、道後温泉本館(右の写真)は「坊ちゃん湯」としてあまりにも有名です。
 そしてこの松山市、周辺の温泉郡をあわせて約100軒の杉原家があり、四国では杉原さんの多いところでもあります。何軒かの杉原さんに電話をかけてみました。「古いことはわかりませんが、我が家は周桑郡の出と聞いています」というお話がいくつかあったのが印象に残りました。

城山ロープウエーの上り口近く
   今日はそのなかから「杉原楽器店」をお訪ねしました。
 松山市内の中心部を占める松山城は山城で、東側からロープウエーで登るようになっています。その駅から南へ約100m、大街道ロープウエー街という商店街で東雲中高等学校のすぐ横にそのお店はありました。
 なんと、和楽器店(邦楽器店)だったのです。広い店先には琴や三味線などが飾られ、「御琴三弦」などと書いてあります。なんだか杉原さんにふさわしいお店だなー、なんて勝手に考えてしまいました。
 「いらっしゃい」出てこられた奥様は、私の趣味の名刺を見て意外なことを話されました。「杉原姓のホームページをされている方が来られると話をしましたら、娘の主人が”それならラーメン好きな人ですよ”っていうんですよ。やはりそうでしたね。」
 うーん。ここでも私のHPを見ていただいていたのです。ありがたいことです。いっぺんに打ち解けた雰囲気になってしまいました。

  

 大正13年創業の老舗店
    「私のところは、主人の父が和楽器の修行をしまして、大正13年にここで創業したんです。主人が継いでやっておったのですが、10年ほど前になくなりまして、そのあと職人さんたちを引き継いで私がやっています。」
 店には三味線の皮を張る姿と共に「匠」として紹介された御主人の新聞記事が飾られていました。
 奥ではもうここで20数年働いておられるという職人の方が作業をしておられます。目の前には猫の皮が何枚もぶら下がっていました。
 「最近は入手しやすい犬の皮も使われていますが、やはり薄い猫の皮がいいのです。」というお話でした。
 ちょうど、ひとりの女性が2本の三弦を修理に持ってこられていました。ご自分のものと、学生さんの練習用のだそうです。大学で邦楽を教えておられるのでしょうか?
 和楽器(邦楽器)のお店、戦後は松山にも7軒あったそうですが、今ではここもふくめて3軒になったということでした。  古い火鉢の灰をかき混ぜながら、奥様のお話が続きます・

ご先祖は、やはり広島県東部から?
 出てきたのは古い過去帳でした。「正徳四年・・・寛保二年・・・宝永・・、文化・・・」という年号が並んでいます。どれも江戸時代のものです。古いものです。同時に「伊予の国周布郡・・・杉原茂右ェ門・・・」ともあります。やはり今の今治市の南、周桑郡あたりに昔は住んでおられた杉原さんなのです。
 「家紋は左三つ巴です。」「えっ、じゃあ!!」
 思わず驚いて声を出してしまいました。左三つ巴といえば、広島県尾道市や福山市の杉原さんと同じです。状況証拠は、尾道、福山の杉原さんが、今のしまなみ海道沿いに南下、今治かその東あたりに上陸して、この松山にやってきたということを示しているではありませんか?何百年もの時代を経て、この松山にたどり着いたのでしょう。人々の記憶や記録は忘れ去られましたが、家紋と言うシンボルが家々に伝わることによって、そのことを後世に伝えてきたように思いました。(2002,9) inserted by FC2 system