山口県小野田市長の、杉原さん

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 山口県の西南部、小野田市といえば、私には「小野田セメント」の発祥の地かもしれない・・・という程度の知識しかありませんでした。地図でみますと、大きな宇部市のすぐ西に、はりついたように「小野田」の地名がみえます。ところがその小野田市の市長さんが「杉原」さんだったのです。
  連絡をとらせていただいて、インタビューをと押しかけてしまいました。新幹線を小郡でおりて在来線で30分あまり、そこは図書館への道沿いにも工場の立ち並ぶ工業都市でした。

 『やあいらっしゃい。どうぞどうぞ。』
 市長室の一角に席をすすめて下さる、杉原記美(きよし)市長さんは、恰幅の良い丸顔のやさしそうなお方でした。いつものことですが同じ杉原姓の気安さからか、話がどんどん発展し終わる気配がありません。
 では、まずは杉原市長のの小野田市紹介の弁から、
 『もともとここは1、400~1、500年くらい前から人が住み着いていまして、竜王山という瀬戸内海につきだして、大分のほうまで6州が展望できる小山には、古墳も多く、須恵器もたくさん出ているんです。』
 『町として形になったのは、明治14年に小野田セメントが設立されてからです。セメント工場を中心に市がたちまして、それなりににぎやかになってきまして、これが「セメント町」という地名で今も残っています。』
 『今、日産化学となっている硫酸会社がありますが、ここにも硫酸町という地名がのこっています。この2つの会社を中心に、発展してきた町なんです。』
 『人口は4万6千人余りくらいですが、人口密度は山口県でも2番目に多いんですよ。』
 小野田市の紹介をするのがいかにも楽しそうに、少年のように目を輝かせて話続けられる杉原市長です。

 『ここは炭鉱が多かったんですよ。』
 「えっ!、そういえば山口県て、宇部炭鉱とか美祢炭鉱とかありましたね。」あまり予備知識を仕入れてこなかった私としては、懸命に記憶のひだをまさぐります。
 『20鉱もあったでしょうか。この道路のむこうあたりにもいくつか立鉱がありましてな。いったん地下へおりて、それから海の方へどんどん坑道がのびとりました。』
 『だから、今でもこの町の地下にはいっぱい空洞があるんですよ。ビルを立てるときパイルが空洞へ届いて、埋めることなどもあるようです。』
 なるほど、それなりにご苦労も多いようです。

 『だからここは工業の町、労働者の町なんです。今日の金は明日に残さんとでもいいましょうかな。そんな気質の強い町なんです。そういう点では生活はしやすいところです。ジャンパーにジーパンで1日すごしても恥ずかしくない町なんです。』
 まるで私もそうなんですよといったぐあいに、目を細めて話される杉原市長に、私も思わずつりこまれて笑ってしまいました。
 話は杉原市長ご自身のことに及びます。
 『先祖が光市のほうからここへ移ってきたと聞いています。硫酸をいれる陶器(硫酸ビン)をつくるという地場産業があったのですが、それをやっていました。私は高校をでてからこの市役所へ勤めまして。総務畑が長かったですかねー。でも、1度畑違いの建設部長をやらされたことがあるんです。技術系じゃあない建設部長でしたので、苦労もありましたが印象がとくに深いといいますか。』
 『で、なぜか平成2年の市長選挙で、お前出んかということになりまして。当時の市長さんが立候補を辞退されまして、無投票になってしまったんですわ・・・』
 「えっ!、最初が無投票だったんですか?。」
 『ええ、で、2期目もそうなってしまったんです。』
 屈託なく話される杉原記美市長の顔は、なんと幸せな・・・というようでもありました。
 『でも、選挙がないからよけいに市民の付託に応えにゃあいかんという、そういう意識が出てくるもんですね。』
 終始柔和なお顔が、このときばかりはちょっと引き締まって見えたのは、気のせいでしょうか。私は政治家というものはいつもはにこにこしていても、ときどき恐いような鋭い目を持っている、という先入観があるのですが、この杉原市長さんは(今日だけかもしれませんが??失礼!)いつもにこにこと柔らかい語り口の1日ではありました。
 で、帰りに送っていただく車の中での一言です。
 『小野田市も今までは企業誘致を行政の重要な仕事としてきましたが、こういうご時世でしょう。これからはやはり人をどう育てるかが最大の課題だと考えて今取り組んでいるんですよ。』
 宵越しの金は持たない・・・?。山口県では特徴のある小野田市から、次世代の日本を背負う人々が輩出する姿を夢見ながら乗り込んだ電車ではありました。

PS:うーむ。ちょっと提灯記事だったかな?。でも、いいですよね皆さん。全国でたぶん唯一の「杉原姓」の市長さんなんですから。

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