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京都先斗町(ぽんとちょう)近くの漆器屋さん

京都の電話帳をみますと、下京区万寿寺通りというところに「杉原漆器店」という名がみえます。これは京都らしいお店だと、さっそくお訪ねしてみました。

五条河原町から少し北へ上がったところ、もう少し北へ行って四条を越えると有名な先斗町です。古い町屋の続く横丁にそのお店はありました。あとで聞いた話ではここいらあたりは京都でも職人の街として有名なんだそうです。
店の中いっぱいに、お椀や重箱、その他漆器が並んでいます。「いらっしゃい。」いかにも京都びとといった感じの上品な老夫婦に出迎えていただきました。
「我が家は先代が少年の頃、滋賀県から出てきて、漆器店で奉公した後、昭和5~6年に独立したんだそうです。この店を開いたのは昭和11年ですから、もう65年になります。」
う~ん。店の前の古い看板が目をひきます。
”えーと。漆器屋さんといいますと?”またまた無知識の私のとんちんかんな問いにも丁寧に答えていただきました。
「ええ、私とこは卸ですから、お客様や小売りさんから注文があったら、生地屋さん、塗り屋さん、蒔絵などを描く人、とそれぞれ選んでその人たちの間を廻して製品化するんです。それぞれの職人さんが完全に分業化していますからね。それで出来上がったら小売りさんに納める。」
う~ん。これは完全に漆器のコーディネーターなんだ。1つの漆器を作るにもいろんな職人さんやこういう卸屋さんの手が加わっているんだなーと感心してしまいました。
京都の漆器屋さんも一時よりは数が減っているものの、まだまだ江戸以来の旧家をはじめ、多くのお店が残って、古い伝統文化を守っているのだそうです。
短い時間でしたが、京都文化の一端に触れる、こころふくれる思いの訪問でした。(2002,1)
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