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安原備中守Ⅰn岡山

 今日ははるばる島根県太田市から「石見銀山ガイドの会」が研修旅行で来られました。総勢29名、大型バスでの一泊研修旅行です。
 石見銀山の功労者「安原備中」の岡山県における足跡をたどるのが目的だそうです。なぜか私は案内を頼まれてお出迎えです。

吉備津神社と安原備中守

 最初は吉備津神社です。ここは安原備中守がお釜殿や回廊を寄贈したと言うことで有名です。宮司さんが直接丁寧に解説されました。
 祭神は孝霊天皇の皇子吉備津彦命で、この吉備の地を平らげ、長寿で亡くなられたと言われています。本殿・拝殿は室町時代初期(1425)のもので、「吉備津造り」という全国唯一の形式として国宝になっています。昨年に屋根の葺き替えや改築が行われ、きれいになっていました。
 この日は、拝殿で拝礼、中を丁寧に案内していただきました。下の写真の中は、安原備中守が寄贈したという銀の弊紙の軸の部分です。
 「これを記憶しておいてください」と予告されて、あとで解説されたのは、本殿の左隅(東北隅)に祭ってあった「丑寅御崎」という「温羅」を祭った祠でした(写真右)。「艮(うしとら)みさきの恐しや」と謡われたものが平凡な厨子であったのに、ちょっと驚きました。

釜鳴りの神事・「大きな音が聞こえた」??

 400mもあるという廻廊をたどってお釜殿へ。そこで「釜鳴りの神事」をしていただきました。この中は撮影禁止でしたので、外部の解説板の写真を載せておきます。雨月物語にも取り上げられた、神秘のものです。
 古くからのかまどの前で、神主さんが祝詞をとなえ、巫女さんがなにやらお釜の上で動作をされています。まめか何かを入れているような、サラサラという音が聞こえています。一同拝礼していましたが、さて「お釜」は鳴ったのでしょうか?。
 「大きな音が聞こえた。」という人、「何にも聞こえなかった。」という人、様々でした。これはやはりそれぞれの心の問題なのでしょうね?。ちなみに私は神事の様子に気をとられてか、何も聞こえないうちに終わってしまったという感じでした。  

早島の供養塔と生家跡

 安原備中守(伝兵衛)は早島町出身だそうです。バスが着いたところには元の町長を始めとした10人近い安原さん達や役場の担当者など、大勢のお出迎えでした。おや、あちこちでお会いしている親しい方もおられますね。早速供養塔へ。
 安原備中守9代の孫という人が建立されたというこの供養塔に、一同線香を供えて祭事となりました。ちなみにすぐ近くにあった大きな墓は、安原本家らしいお宅の墓地だそうです。私も勘違いをしていたようです。そのすぐ南にある別家の墓の中にその供養塔はありました。

 続いて「安原伝兵衛生家跡」です。供養塔から山道を少したどったところでした。斜面に記念碑が建っています。「太宰・・」とありました。太宰(たいさい)は古代中国の官名で百官の長の意味があります。さすがに観光ガイドの皆さんです。ここではこの意味についていくつかの想像がなされていました。

 次は、いまでも安原一族の皆さんがお祭りされていると言う「安原明神」(写真右)です。早島町には100数十軒の安原家があるそうで、近くの豊洲地区からも以前は大勢が参加して、盛大なお祭りだったそうです。
 「安原備中守は地元に様々な貢献をされ、お金を私せず、あまり財産を残さなかったと言われます。私達の誇りです。」1人の安原さんが言われたこと、現代にも通じる大切なことだと思いました。

鶴崎神社にもお釜殿が

 安原備中守(伝兵衛)は、地元の鶴崎神社の再建にも力を尽くされています。ここでも宮司さんが待ち受けておられ、ちょうど拝殿の新築中でしたが、その裏手の本殿について詳しく解説されました。吉備津神社から勧請したお宮で、祭神が同じであること、本殿は普通のお宮さんに比べて、特別に高く造られていることなどでした。

 最後に「あれがお釜殿です。」の一言にみんなビックリ。ついには開けていただいて見学となりました。私も氏神ですので度々お参りしているのですが知らなかったです。東の隅にあり、たしかに吉備津神社と同じようなかまどやお釜がしつらえてありました。ただここでは「釜鳴り神事」は行われていないそうでした。

最後は西田の「安原備中守の土地」へ

 最後に一行は、わが「安原備中守の土地」をも見学されました。ここではいよいよ私が解説役です。謎の多い歴史探求の中での「安原備中守の謎」として、私がネットに取り上げていたのが、石見銀山ガイドの方の目に留まり、今回の研修旅行の1つのきっかけになった碑です。詳しくは上のリンクからその記事をどうぞ。
 夕闇迫る中、熱心に見学を繰り返されたガイドの皆様。
 「いやー、安原備中がこんなに地元に尽くされているとは知りませんでした。これからガイドするときの解説に力が入ります。」
 安原備中守を再認識された様子でした。ありがとうございました。(2009,2)

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