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富山県杉原地区と3つの杉原神社

 富山県中部にかって『杉原村』と言っていた地域があり、そこと近辺に3つの杉原神社がある・・・。このHPを始めた頃、その杉原神社宮司の杉原さんから情報と原稿をいただきました。
 個人的には富山は、アルペンルートの出発地として通過したことがあるのみという私でしたが、今回ゆっくり滞在する機会に恵まれましたので、この富山県旧杉原村を訪ねてみました。

穀倉地帯には、豊かな鎮守の森が残されていました

 富山平野は南の日本アルプスから日本海へそそぐ、神通川、黒部川など数本の大きな河川の扇状地として形成された平野です。日本地図ではそうは見えませんが、現地に来て見ると、真っ平らな広い平野が延々と続くところだと言うのがわかります。
 そして杉原地区(旧杉原村)は富山市街地と南の山地とのちょうど中間にある豊かな穀倉地帯だったのです。杉原神社の周辺は、見渡す限りの田んぼ田んぼ。私の訪問した8月の初めは、ちょうど丈の短い早稲が、いっせいに穂を出したところでした。私の住む岡山県南とは1ヶ月も違うでしょうか?。
 でも十文字に交差した道路の横には、決まって用水路が勢いよく流れ、岡山県南児島湾の干拓地そっくりの風景が展開していました。違うのはそこここに防風林としての杉の大木が目立っていることでした。現にお訪ねした杉原地区の中心、黒田の杉原神社は、杉の大木を中心とした見事な鎮守の森に囲まれています。なるほどこの杉が「杉原」の語源なのだな?と一人納得してしまいました。

杉原神社(黒田地区)本殿鎮守の森と蛍のいる用水
江戸時代初期の新田開発で、見事な水田地帯に

 「これは真榊と言って、私が伊勢神宮から移したものです。」と禰宜の杉原秀圭さん。そういえばよく見る榊とは葉が2倍くらいもある榊の木が、社殿の前にずらりと並んでいます。杉の木との取り合わせも見事です。
 神通川とその支流の井田川にはさまれたこの杉原地区、大古は『杉原野』と呼ばれる原野だったそうで、当時から杉の大木が多かったのでしょう。今でも『神代杉』と呼ばれる古木の株が時々掘り出されると言われます。貞観5年(863)の文書に『杉原神』という記述があることからも、相当に古い土地柄のようです。
 伝説ではその原野を治めていた杉原比古(杉原彦)、砕田比咩(咲田姫)の夫婦が荒地を懸命の努力で整地したとのこと。この黒田地区の杉原神社、もうひとつ隣村田屋地区の杉原神社はこの2人の神を祀っているそうです。
 この2人の神の意志を継いで、実際にこの地が発展したのは江戸時代初期のことです。世情が安定し全国で新田開発が進められた時、この地にも『杉原野用水(寛文7年・1667)』が切り開かれ、現在のような美田が登場したとあります(八尾町史から要約)。これもまた私の住む岡山県南と似た歴史をたどった土地のようで、ますます親近感が沸いてきます。
 この地にある3つの杉原神社は、いずれも近くを合場川という用水路が流れ、黒田杉原神社横の用水は、蛍の名所だということでした。

杉原神社(黒田)前にて、宮司の杉原さん浜ノ子地区の杉原神社田尾地区の杉原神社
おわら風の盆の里、八尾町の隣村でした

 この富山の杉原地区、明治の大合併のおりに黒田、井田、大杉、杉田、神通・・・といった17カ村ほかが合併して『杉原村』となりました。そして昭和20年代末の合併で、隣の旧八尾町と合併して八尾町に。さらに今年の大合併で富山市八尾町へと変遷したのです。

杉原小学校(近くに杉原中学校も)杉原郵便局

 八尾町といえば『おわら風の盆』が頭に浮かびます。ここも見てみよう・・・。
 青々とした水田の続く杉原地区から、南の山岳地帯に取り付く位置にあるのが坂の町としても有名な八尾地区(旧八尾町)でした。かっては養蚕業と上質な和紙の里として栄え、現在5月は曳山(全国3大曳山の一つ)、9月初めには『おわら風の盆』で全国からの観光客が山間の町々を埋め尽くすという土地柄です。今回は1ヶ月早い訪問でしたが、次回にはぜひこのどちらかの時期に来たいものだと思いました。下記の2枚は八尾地区の風景です。

そしてラーメン所富山のお話

 富山の宿に泊まり、朝の散歩を楽しんでいますと、イタチ川というまことに風情のある川に沿って街が発達したことがわかります。そしてその一角にあったのが『延命地蔵』というお地蔵様。隣に清水が湧き出しています。立山からの水だそうで、散歩で汗をかいていた身には、まことに心地よい良水でした。まさに『延命』です。
 このように杉原地区を含む富山平野は、日本アルプスよりの良水に恵まれた土地でした。そして当然のようにラーメンの土地だったのです。しかも岡山と同じように多種多様なラーメンが花咲いていたのです。今回「大喜(写真左)」「末弘軒(同右)」「九頭龍」の3店を賞味させていただきましたが、いずれ劣らぬ個性派ぞろい、さすが日本アルプスの名水で鍛えたラーメンという感じでした。

 

 ということで今回はここ杉原地区で、「今回は和そばでしめようか」と『そば処権兵衛』さんにおよりしたのです。ところがメニューを見ますとラーメンがあるではありませんか。私もこうなると病気です。ついふらふらと注文してしまいました。
 そして出てきたラーメン。なかなかのお味でした。まあ普通のラーメンなのですが、魚介類をあわせたスープといい、柔らかいチャーシューと麺とのバランスといい、これが美味しかったのです。お向かいの杉原秀圭さんも意外だったようで、「う~ん、う~ん」と何回かうなった末「そういえば、忘れていましたが、ここのラーメンが美味しいと評判になったことがありましたね。」と。
 ともかく今回の富山杉原地区の取材、終始ご案内いただいた杉原神社禰宜の杉原秀圭さんに感謝感謝でありました。(2005,8)

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